崖の上のポニョ

(話の内容に触れてまんねん)
仕事さぼって観て来た。
ん〜これ、誰が何をして何が解決した話なんだろうか。
マスコット的なキャラである「ポニョ」が同時にヒロインでもあるという珍しいケース。それで何が起きているかというと、少年との心の交流が殆どない。
少年がポニョを見付ける、バケツに入れて飼う、そのうちポニョが喋り出す……といった情景はいいとしても、この時点では「ペットと飼い主」の関係。ポニョがしたのは、無邪気に魔法を使うことくらい。そして二人が対等の友達になりかけたところで物語は佳境に入ってしまう。だから少年にもポニョにも感情移入できない。
海の汚れがかなり強調して描かれたり、ポニョの父親が「愚かな人間達」と言ったり、安易な自然愛護がテーマの物語かいなと思わせる場面はあるが、そこは終盤殆ど触れられない。安堵する反面、あれは一体何だったのかという疑問は残る。終盤に「世界のほころびが……」というようなセリフがあるにはあったが、あれではいくらなんでも説明不足というものじゃなかろか。
少年がポニョのために何かしなきゃいけないようなことを匂わせておきながら(すわ、成長物語か?)結局大したことはしない。「少年が“がんばった”おかげでめでたしめでたし」なんてことにならなかったことにも安堵したものの、これまた引っかかりが残った。
家族の描写はちょっと面白かったが、それが物語に生かされていたのかとなると疑問。少年は両親を名前で呼び、その両親は共働き。父親は船乗りであまり家にいない。少年は5歳ながらガスや電気など生活に関する事柄を解し、変に分別がある。なぜああした家族に設定したのかすら、よくわからない。家族自体は好もしく感じられたけれど、設定そのものが浮いていた気がする。
終盤の洪水はどう考えても大災害なのに、なぜか翌日の人々の描写がやたらとのどか。ナンセンステールなら、ああいうのを平然と受け止めてほのぼのしてるという展開もありだと思うけど、生活ぶりを結構リアルに描いていたりもしていた中であれをやられると、違和感ばかりが残る。
ポニョの親子関係もさっぱり見えないし、両親が何を考えて何をして生きているのかもわからない。
今までの宮崎駿のアニメの中で一番釈然としない作品。絵はよかったんだけどなあ。

タイトル注意

ずっと「岸の上のポニョ」だと思ってた。さっきテレビで「ガケの上の……」と言っているのを聞いて慌ててブログ修正。検索すると出るわ出るわ。
あの〜チケット買う時思いっ切り「キシの上のポニョ」って言っちゃったんですけど。