どこへ行くモハメド・ヨネ

8日の大阪大会で丸藤とのシングル戦で敗北。どこまで本気か知らないが「リングが恐い」とのコメントを残したという。
ノア入団当時のヨネに私が持っていた印象は「気持ちがよく前に出ている若手」。ここ数年は「奇を衒うばかりのワンパターン、でもたまにいい試合をする人」。
往年の強豪ビル・ロビンソンに対し、「彼はどの試合でも自分の技を全部出さないと気が済まない。これではファンは飽きる」と酷評するレスラーもいたという。ヨネがまさにそれではないか。但し、ビルには実力そのものはあった。
四方顔見せチンロック、花道ダッシュといったお約束技は、はっきり言って「誰にでもできる」。ここ重要。決め技のキン肉バスターにしても、漫画から持ち込んだという物珍しさはあっても、トップを狙おうという選手が固執するような技かとなると疑問符が付く。少なくとも私にとってはどれも「金を払ってまで見たくはない」。
ではヨネにしかない持ち味とは……?
特別器用であるとかパワーがあるとかいうのでもない。しいて言うなら185センチという体格の割には身が軽いということか。身体的には小橋に近いのかなとも思う(小橋はデビュー当時からパワーファイターだったわけではない)。スタイル的にはKENTAにやや近い気もするが、試合内容の差たるや……。
観客も悪い。ヨネのお約束技にご丁寧に声援を送るのはなぜだ。たまの観戦だから飽きていないだけだろうか。私だって十六文キックなら何度見ても飽きなかったが、それはジャイアント馬場が天才だからであって。
抜きん出たものはなくとも高く評価されたレスラーは確かにいる。たとえばアニマル浜口。たとえば石川敬士。もっとも彼らの場合はバイプレイヤーに徹してこその成功ではあったけれど。目立ちたがり屋のヨネがバイプレイヤーに向いているかとなると、これも難しいところ。
あ、バイプレイヤーでもなくてトップを極めてもいない目立ちたがり屋の人気者もいるぞ。越中詩郎。彼も「お約束技」の権化みたいな選手だが、技術は確かだし奇を衒っているわけでもない。
さて注目は18日の武道館大会。ヨネにではなく観客に。これまでヨネの「お約束」にいちいち乗っていたファンが、「ヨネ低迷」の報道を受けてどう出るか。罵声がちょっと増える程度かしら。