今江祥智・シリーズもの

知名度において双璧は「ぼんぼん」と「優しさごっこ」。

「ぼんぼん」シリーズ

自伝的長編「ぼんぼん」「兄貴」「おれたちのおふくろ」までを「ぼんぼん三部作」と呼んだり「牧歌」を含めて「四部作」と呼んだりされているけれど、四部作でいいんじゃないか。
ぼんぼん (岩波少年文庫)兄貴 (新潮文庫)
ほかに「兄ちゃんのいた夏」という短編もあり、これはシリーズの主人公「洋」をある小さな女の子の目から描いた物語。
短編「ほのおの夜」は「ぼんぼん」からの抜粋。

「優しさごっこ」シリーズ

これまた自伝的長編。「優しさごっこ」「冬の光」の2作。「ぼんぼん」シリーズのずっと後の物語として読めなくもないけれど、そう思って読もうとすると却って違和感が。別ものとして楽しみたい。
優しさごっこ <新装版>冬の光―続・優しさごっこ (新潮文庫)
シリーズに登場する犬「タマテバコ」を主人公とした中編「紙のお月さま」では、完結編「冬の光」の後もちょびっと描かれている。
本シリーズの主人公「とうさん」の若かりし頃の物語、と思えなくもない「雲を笑いとばして」という長編もある。文学者・新村猛をモデルとして描かれたという教授がいい。
長編「明るい表通りで」は、人物名からしてちがうので明らかに別作品だけれども、シリーズのアナザーストーリーといった趣なきにしもあらず。


さて上記2つのシリーズものよりだいぶ後に、今江祥智は新たな三部作を書いている。今度は「自伝的」の冠はつかない。このブログでも取り上げたこともある、あれ。後日また紹介しようと思っている、あれ。