アルベルト城間ライブ?

都内某所。バンドOLIOLIによるラテンライブ。そこにアルベルト城間が飛び入りゲスト参加、という先月と同じ出だし。
その先月、私はこんな風に書いている。

アルベルトとバンドメンバーが、さも楽しそうに歌い、演奏する。その楽しさが自然と店全体に広がって行くような、そんな感覚。

実は、空間としての心地よさとは別に、アーチスト・アルベルトを満喫できなかったという物足りなさを感じてもいた。今回はそれが更に顕著だった。
ちょっと乗りのいい曲だと、もう席を離れて踊る人・人・人。そうやって楽しむのは無論いいのだが、でもこれ、歌い手がアルベルトである必要ないんじゃない? 
カウンタ席に座っている私に何度もぶつかりそうになりながら踊る人達を見るにつけ、アルベルトはバンドメンバーと常連客が楽しむためのダシにされているだけじゃないかという違和感がどんどん膨らんで行く。歌の最中の話し声や笑い声も回を追うごとにひどくなっている。
とどめはアンコール。「ギター1本で行きます」とアルベルトが宣言して歌い出した「コンドルは飛んで行く」なのに、合わせて伴奏するバンドメンバー。わかってねぇ。
アルベルト城間という人、みんなを楽しませようというサービス精神は人一倍強い。しかしそれ以上にアーチスト志向も強い。少なくとも私はそう思っている。エンターテイナーである以上にアーチストなのだ。乱痴気騒ぎになってしまった今日のライブだが(そして彼自身それを楽しみつつも)、最後くらいは――との思いがあったのではないか。「ギター1本で」という言葉が私には嬉しかった。しかし結果はあの通り。消化不良。
今日は、この店でのアルベルトのライブでは(私の知る限りでは)初めて空席があった。後で人から聞いた話では、前回のライブが「アルベルト」を満喫するには程遠い雰囲気だったという理由で、今回敬遠した人が何人もいたらしい。
「ダシ」は言い過ぎかも知れない。諸々のハードルをクリアしてライブ開催にこぎ着けるのに、店側に相応の苦労もあったと聞いている。だがアルベルトのファンがそっぽを向き始めているのもまた事実なのだ。店にとってもこれが本意であるとは思えない。ライブのスタイルには一考の要ありと思う。
求めるものが異なる常連客と外様。この先どうなることやら。