親子喧嘩なんてしません

このところ朝食を食べない日が多い。腹が減らないし無理に食べると腹を壊す。以前はたとえ腹を壊しても朝は食べておいた方が調子がよかったが、最近はカンケーなくなって来た気がして無理に食べなくなった。
ずっと親許に住んでいる。2食で平気なのかと父に言われた。最近の私の食生活が気になるらしい。
2食の方がいいっていう説もあるんだよとか適当に答えると、「そんなわけあるか、ば〜か〜や〜ろ〜」。なにかといえばバカのアホの言う親だから、この時は「またか」と思っただけだったが――。
日本人は昔から3食食べていたわけじゃないとか、1食がいいという説だってあるんだとか、まあ他愛ない健康論をあれこれ並べても、返って来るのは「バカ」「ふざけんな」と知性あふれる単語の羅列。
「お前なあ、人の意見を聞けよ。」
これ、父のセリフね。
何を言っても罵声しか返さないのは誰だ。と突っ込んだら、急に怒気を帯びて来た。何怒っとんの?
曰く、料理も洗濯も毎日やらせといて感謝の気持ちもあったもんじゃないとかなんとか。話が異次元にワープしてます。それから今みたいな生活をいつまで続ける気なんだ、とか。ますますワープしてます。「今みたいな」というのは、ドクシンだとか低収入だとか、まあそんな風なことだろう。
とどのつまりは「こいつ何考えて生きてんだ」という日々抱えている苛立ちが噴出したということのようだ。その苛立ち(特に収入面)はもっともだと自分でも思うが、食事の回数の話題からスライドするという超絶フェイントをやられては、話し合いもなにもあったもんじゃない。(最初に「無理に食べると腹を壊す」と言っておけば何事もなかったんだろうな。)
こういう親だから、まともに話し合えたことがない。そもそも私が自己主張をする年齢になった頃にはもう話し合うのを諦めていた。つまり話し合おうとしたことがない。もっとも私は3人兄弟の末っ子で、父の怒りの矛先は長兄→次兄とシフトしていたので被害は少なかった。兄を支離滅裂になじる父、その父をたしなめつつ兄を叱る母というややこしい構図を何度見たことか。


とはいえ、決定的に傷付け合ったり憎み合ったりという関係には(恐らく兄達も)なっていないし、これからもなりそうにない。互いによくも悪くも距離を保っているというのもあるし、息子の生き方に無闇に干渉する父親ではないというのもある。「愛情」を大義名分に親のエゴを押し付けられたという記憶もない。たまに爆発するということは、普段は我慢しているということでもある。要するに、筋道立てて考える能力は持っているが対話能力がその十分の一もない、そういうヒト。
苦しくもなく心地よくもないこの距離感はずっと続くんだろうな。父と酒を酌み交わすとか、想像するだけで寒気がするぜ。
しかしまあ父親にとって息子なんてイラつく存在に決まってるんだから、「何歳になったら家を出ろ」でいいような気がする。とか言いながら、こっちはこっちで家を出る積極的理由がないからずっとこの調子。