松田美緒コンサート in ハクジュホール

松田美緒久々のホールコンサート。かな。
ポルトガルの音楽800年の歴史を辿る。初めて聴く曲たくさん。
世界の音楽を紹介するといった趣旨の、つのだたかしプロデュースのシリーズもののようだ。
つのだたかしといえば顔芸「プァーッ」があまりにも有名。かどうかは知らないが、リュートをはじめ様々な楽器を操る。
本人を見るのも演奏を聴くのも始めてだが、もうその姿だけで演奏家としての信頼を獲得してしまうような人。といってもカラヤンのような近寄り難さとは無縁の、むしろ安心感を与える飄々たるたたずまい。恰幅のよさやヒゲ面も相まって、今江祥智氏を彷彿させなくもない。黒田恭一による「筋金入りの音楽オヤジ」という評もうなずける。
一方、ギターほかを担当したレオナルド・ブラーボもテクニシャン。ソロでも余裕綽々。
さて松田美緒である。今回は彼女の好きな生音ライブ。ハクジュホールは全300席。しかし会場の広さに負けるとか負けないとか、そんなことを聴き手に考えさせすらしないほど、歌声がナチュラルに響く。会場のよさでもあり、歌い手の力でもあるのだろう。
そして、何度も書いていることだが、とにかく楽しそうだ。ホールでのコンサートという気負いをまったく感じさせず、ただ歌うことが嬉しくて楽しいという様子(本人のブログには「緊張した」と書いてあるが……)。それでいて、ライブハウスの時のような即興、曲変更なんでもありというのとは一線を画した、きちんと作り込まれた舞台になっている。天衣無縫という言葉は彼女のためにある。
一部のファド曲については、伴奏がやや突っ走りすぎているようにも感じられたが、わざとだろうか。つのだたかしの弾くギターラ(ポルトガルギター)は、どこかエスニックに聞こえるから不思議だ。

最終曲の前にはこんな一幕。ギターラのチューニングを始めるつのだたかし。これが結構時間がかかる。途中、松田美緒に向かって人差し指を立てて「ちょっと待ってね」というゼスチャー。会場笑。だが終わらない。なかなか終わらない。とことんマイペース。じっと見る脇の2人。腕時計を見るそぶりをする松田美緒(つけてません)。会場笑。無言のショートコント。


期待以上のコンサート。ただ、隣のオジサンが臭かった鼻息荒かった。