在京ファディスタ4人

津森久美子のライブでおなじみのエスキーナ・ド・ソンの月本氏が運営するM.T.E.C主催の「とある小さなファドの夜」なるジョイントコンサート。
http://mtec-pt.biz/
場所はアプリコ小ホール。出演歌手は鹿糠ちはる、マウロ・ネーヴェス、峰万里恵、高柳卓也。伴奏は月本一史(ギターラ)、水谷和大(ギター)、伊代田大樹(ウッドベース)。4人のファディスタが4曲ずつ歌う。
鹿糠ちはるはポピュラー歌手のイメージが強いがファドもこなす。
マウロ・ネーヴェスは上智大学教授でブラジル人。特徴のあるテナーがよく通る。
高柳卓也の歌を聴くのは初めて。「深いバリトン」というのはこういうのを言うのだろうか。すこぶる声のいい人。
この日の出色は峰万里恵(こちらも初めて)。40年近いキャリアから来る貫禄は圧倒的。自分の歌を完全にものにした人の歌声だった。
津森久美子のレパートリーでもある「私に腕をかして」が歌われた。比較的テンポが速く軽快だがインテンポで歌ってしまうと窮屈に聴こえがちなこの曲が、ここまで崩すのかというくらい自由に歌われ、あたかも語っているかのよう。
それにしても、この方の歌はコッテリのタップリ。み、水をくれ……。尻上がりに調子を上げるタイプの歌手も多いが、この方は最初からフルスロットル。たった4曲なのに少々胃もたれしてしまったのは、歌声の力のなせる業か。あるいはたった4曲だからあえてああした歌唱(と選曲)で走り抜けたのかも知れない。


終演後にロビーで月本氏、水谷氏に軽く挨拶。峰万里恵がスゴカッタと言ったら、水谷氏が引き合わせてくれた。
実はこの歌手の名前だけは以前から知っていた。マドレデウスの歌詞の対訳を何度も手掛けている高場将美氏のコラムを何年か前に検索で発見したのだが、それが峰万里恵オフィシャルサイトの一コーナーだったのだ。ほどなくして私のサイト「マドレデウスの部屋」を見てくれた高場氏から思いがけずメールをいただいた、なんてこともあり、いずれは歌を聴いてみたいと思っていた。
というようなことを峰さんに話したら、高場さんとも引き合わせて下さった。(会場に見えているのには気付いていたが声をかけそびれていた。)
「テレーザのアルバムの日本盤が出ましたね」「マドレデウスの新作の日本盤は出ないだろうねえ」とか、そんな他愛のない話をひとしきり。