松田美緒ライブ in 代官山

松田美緒ポルトガルギリシャ凱旋ライブ」と銘打って「山羊に、聞く?」という店で。同じビルにある「晴れたら空に豆まいて」と経営母体(経営者?)は同じらしい。
安保法政反対デモまっさかり。渋谷では街頭演説でもしてるかしらんと、ライブ前にちょいと足を伸ばしてハチ公広場に行ってみた。
<<なにもなし>>


そんなことはさておきライブですよ。
松田美緒のライブに足を運んだのは1年数ヶ月ぶり。しかーも私が行ったここ何回かはジョイントだったり企画ものだったりで、歌いたいものを好きに歌ったであろうライブはえらい久しぶり。
1stステージはポルトガル語の歌、2ndステージはギリシャ語の歌。
各地で歌いまくって来た余韻そのままにといった様子で出だしからエンジン全開。しかも、以前は才気むき出しで暴れているといった印象だったのが(暴力的という意味ではない)、歌声で会場を包み、掌握するといった印象を与えるようになっていた。言い換えれば「あそこにいる松田美緒を見ている」という感覚だったのが、今回は会場全体が松田美緒空間に染め上げられているように感じられた。
彼女のファドも久しぶりに聴いた。伴奏は主にピアノだが、これがよかった。付け焼刃のギターラで歌うくらいなら、名人のピアノ伴奏の方がずっといいね。
アンコールは「SAIKO」。何百回と歌っているこの歌を、なんと楽しそうに歌うんでしょうねこの人は。
今年足を運んだライブの中ではベストかな。


余談になるが、この日のライブには松田美緒さんのお母さんとお婆さんもいらしており、図々しくも同じテーブルに座らせていただいた。しかもワインをご馳走になってしまった。
お母上とは、メールのやり取りをきっかけにライブ会場でお見かけするとご挨拶するようになり、その昔「機会があればご馳走したい」と言って下さったことがある。「その十年来の約束を今こそ果たしたい」とのことで、ありがたく頂戴した。ちょっとした一言を、社交辞令として風化させることなく心に留め続けて下さっていたなんて、実に素敵ではないですか。
お婆さんの、90という年齢を感じさせぬかくしゃくたるご様子にビックリ。歌がすこぶる達者な方で、今でも音程やリズムを決して違えないという。


お母上から聞かせていただいた松田美緒さんのエピソード。
歌手になりたいと言い出した時、「この子は不器用だから、もしかしたらものになるかも知れない」と背中を押した。
歌手活動の悩みをこぼしていた時に言った言葉。「誰かの期待に応えようとするな。親の期待にも、周囲の期待にも応えるな。自分がやろうと思ったことをやりなさい。」
↑と言った手前、娘に歌ってほしい曲をリクエストできない、というオチまでついている。