うれしはずかし朝帰り

ライブが終わり、ミュージシャンや周囲の人達としばし談笑。
ぼちぼち帰るか。今からなら横浜まで電車で行ける。そこから深夜バスという黄金コース。
ええと、大体こっちの方向に歩けば駅に着くはず。はず。はず。
着きません。乗り遅れました。帰れません。
とりあえず渋谷まで辿り着く。東横線は当然もうない。おっとここにも深夜バス。行き先は……大倉山、か。これなら渋谷に留まった方がいい。
タクシーを使ったら死ぬ。財布が。こうなれば、うれしはずかし初めての漫画喫茶で夜明かしか。
おや、山手線に品川行きの終電が。もしや品川から横浜行きのバスが……? よし、品川へゴー。
なかった。
駅構内の公衆電話(5〜6台並んでいる)の長い荷物棚に寝転がるというアクロバチックなことをしているサラリーマンもいるが私にはとてもとても。
交番がある。すいませ〜ん、この辺に漫画喫茶が――
「ありません。」
こっちが言い終わる前に一刀両断。「漫画喫茶はないけど××なら……」と親身になるそぶりすらない。
じーっと見てひとこと「どうも」。出掛けにまたじーっと見て去る。「不親切なお巡りさん」というのを初めてこの目で見た。

歩き回ってみると、なるほど漫画喫茶は見当たらないが、深夜営業の居酒屋なら結構ある。うたたねOKだろうか?
いや、カラオケBOXフリータイム2,000円というのがあるではないか。個室なら言うことなしだ。決定。5〜6人用とおぼしき部屋に通される。広いな〜。


BGMがうるさいのなんの。
ボリュームを下げて……効かない。ではディアマンテスのバラード曲をかけてボリュームを下げる……下げたら店のBGMが鳴りやがる。これなら居酒屋の方がましだった。

 しかし久しぶりにカラオケBOXの音を聴いたが、わがカラオケ嫌いを再認識。なんであんな音を長時間聴いてられるんだ? なんて、私も学生時代は「あんな音」をいじって遊んでいたのだが。
 ディアマンテススペイン語歌詞が多いだけにスペルミスやルビの間違いが多い。estoyがestorになっていたりvivoに「ヴィヴォ」とルビがふられていたり。それにしてもディアマンテスの曲目増えたな。5〜6年前にどこかのカラオケBOXに行った時は確か2曲しかなかった。ゴダイゴもしかり。でもジプシー・キングスは「ジョビ・ジョバ」と「バンボレオ」しかなかった。

ウコン茶カルピスウォーターを注文。各200円也。
さてこの場をどう切り抜けたものか。と取り出しましたるはポケットティッシュ。丸めて耳に突っ込むと、まあ普通のBGM程度の音量にはなる。これからは耳栓持ち歩くかな。靴下を脱いで、おもむろに横になる。静かとは言い難いが時々うつらうつらとはなる。起きて過ごすよりは幾分ましだろう。営業は5時まで。4時50分に出よう。
コンコン。「お会計だけ先にお願いしま〜す。」
女性店員が入って来ました。まだ4時半だろう!
慌てて起き上がったのは耳から白いティッシュが飛び出ているヒゲ面の男。
恥ずかしくない。俺は恥ずかしくないぞ。


6時帰宅。シャワー浴びてまた寝る。11時出勤なので助かった。