ヘイトスピーチとカウンター2

反対票を投じた人

前の話は一旦置いといて、ヘイトスピーチ対策法に反対票を投じた参議院議員2人について書いておく。
私が与党案の内容を知った時の感想は「なんじゃこれ」。当然野党は反発したが、付帯決議を加えるという形で妥協。
意外だったのは、この問題点の多い法案を、ヘイトスピーチの一番の被害者である在日韓国・朝鮮人の面々が、法の不完全さを知りながらも歓迎している、歓迎どころか感激しているということ。彼らの思いの切実さを、どうも私は今ひとつわかっていないようだ。
議決に向けて与野党間で議論があまり紛糾しなかったのも、そうした彼らの思いを野党が酌んだからなのではないか。
さて反対票を投じたひとりである福島みずほ氏(社民党)のブログから。

社民党は、野党案に賛成、与党案に反対をしました。
与党案には、ひとつの大きな欠陥があると考えました。
一番大きな問題点は、適法居住者に対するヘイトスピーチを対象にしている、それが問題です。
適法居住している外国人に対するヘイトスピーチは問題であるけれども、適法居住しない外国人に対するヘイトスピーチは、除外をされていることです。
(略)
そして、正直言って、社民党が反対をすることで成立をしないと言うような状況ではないことに反対する理由の一つにありました。
どうしても今国会ヘイトスピーチ規制法を成立させるべきだと考えていました。

一理あるとは思うが、有田芳生氏は「とても残念」とツイートし、在日韓国・朝鮮人からも失望の声。福島氏が今後ヘイト対策に動き辛くなってしまわないか気掛かりだ。
さてもうひとりは山本太郎氏(生活)。反対の理由は福島氏と大体同じだが、おかしな主張が2つ。

ヘイト集団の軽犯罪行為に対しては既存の法律でも対応はできた。しかし警察はほとんど対応しなかった。
憲法14条と人種差別撤廃条約に違反する差別行為に行政が正しく対応すれば、不完全な法律は必要ない。

既存の法律でも対応はできたかも知れない。しかし既存の法律だけでは「対応しない」という選択肢が残されてもいた。それがヘイトスピーチが蔓延した元凶なのに、前提となっている経緯を無視して何を呑気なこと言ってんの。
そしてもうひとつ、この言い草はひどい。

今回、与党側のリードに乗り、自分の選挙を迎えるにあたって手柄を急いだ者の罪は重い。

有田氏怒りのツイート。

冗談ではない。私は改選期であり法案の交渉をした唯一の当事者だ。「手柄」などという気持ち悪い感性などそもそもかけらもない。歪んだ人間観で勝手に人を判断するな。強く抗議する。

山本氏は安保や原発問題では目を引く活躍を見せたけれど、たまに暴走するね。ヘイト関連の書籍なんか読んでないんじゃないかな。

ヘイトスピーチとカウンター3
http://d.hatena.ne.jp/higeweb/20160517/1463454487