チャイコフスキーを生で聴く<ロリン・マゼール>

とにもかくにもマゼールである。8歳で指揮デビューを果たし神童と呼ばれたり天才と呼ばれたり鬼才と呼ばれたり変態と呼ばれたりで御年82歳のマゼールである。
珍しく喉風邪にやられて連日咳き込んでばかりいたのをどうにか治して、いざNHKホールへ。NHKホールに入るのも初めてなら、N響を生で聴くのも初めて。6,000円のA席。マゼールの演奏がこの料金で聴けたのは、日本のオーケストラだからだろう。
入口で手渡された厚さ2センチのパンフレットの束にはマイッタ。電話帳かい!

NHK交響楽団
ロリン・マゼール(指揮)
アリス・紗良・オット(ピアノ)
■曲目
ベートーベン/序曲「レオノーレ」 第3番 ハ長調
グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
<アンコール>
リスト/パガニーニによる大練習曲第5番 ホ長調「狩り」

チャイコフスキー交響曲 第4番 へ短調 作品36
<アンコール>
グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲

実のところ、チャイコフスキー4番の凄さもマゼールの凄さも大してわかっちゃいない私としては、マゼールの乱痴気騒ぎを堪能できればそれで満足。
「レオノーレ」はもしかしたらCDですら聴いたことないかも。タイトルだけはあちこちで聞くけど。
グリーグのピアノ協奏曲は、その昔CDで凡庸極まる演奏を聴いたきり。始めて生で聴くグリーグは、よかったけど、すごくよかったのかというとよくワカラン。オットの演奏への評価はネット上でも賛否あり。アンコールの「狩り」は耳にしたことはあるな〜。CDは多分持ってない。
さてチャイコフスキーはわりと取っ付きやすくて好きだが、生で聴くのは小品・大作問わず初めてかも知れない(小学校や中学校の「鑑賞会」なぞを除けば)。
なんか「マゼールの音」って感じがした。N響の音ではなく、マゼールの音。音楽的にどうこうはわからないけれど、密度の高い演奏だったと思う。4番ラストの加速と畳み掛けはまさしくマゼール
2001年にもマゼールのコンサートに行ったが、観客の反応は段違い。鳴り止まぬ拍手と歓声にご機嫌。どこかのブログによれば、この日の指揮中のパフォーマンスも、カーテンコールでの様子も、マゼールが最上級にご機嫌の時にしか見せないものだったとか。

チャイコフスキー:交響曲第4番

チャイコフスキー:交響曲第4番

拍手が少ない時はアンコールをしないマゼールだが、この日はもちろんやってくれました。録音でもイスラエル・フィルで凄まじい演奏をしている「ルスランとリュドミュラ(リュドミラ)」。思いがけず生で聴けたこの日の演奏は、まさしくマゼールの真骨頂と言うべき乱痴気騒ぎ。
R.コルサコフ:金鶏

R.コルサコフ:金鶏

なんでも、本来ガンガン鳴らす場所で突如ピアニッシモで鳴らすという「爆弾」もあったそうだが、この曲の題名すら思い出せなかった私はまったく気付かず。
ツイッターでもこの日の演奏への反響は凄まじかった。
19日の「ニーベルングの指環マゼール編)」も聴きたかったな。
ワーグナー : 楽劇「ニーベルングの指環」

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