安倍昭恵氏が高江を訪問

安倍昭恵氏が、三宅洋平氏を伴って高江のテントを訪問した。
抗議活動をしている人達の間にはかなりの戸惑いがあったようだ。
国家権力による暴力に晒されている彼らにとってみれば、総理大臣は自分達の暮らし、あるいは生命そのものをも奪いかねない存在ということになる。その夫人の突然の来訪。
増税するしないといった話とはまったく違う次元の抜き差しならぬ衝突のさ中。ましてや昭恵氏は、先の参院選ではヘリパッド建設推進派である島尻沖縄担当相の応援演説をしている。
私はネット上で読んだのに過ぎないが、昭恵氏来訪に対する市民の言葉は悲痛としか言いようがない。同時に、市民達は三宅氏に対しても不信感をあらわにしていた。


現地の人達の反応を見れば、三宅氏の配慮不足は否定できないところかも知れない。
だが、それでもあえて今回の訪問を前向きに捉えたい気持ちもある。
「家庭内野党」という言葉に象徴されるように、昭恵氏は安倍政治に必ずしも賛成していない。いくつか読んだインタビュー記事などからは、その人柄にも私は好印象を受けていた。(だったらなぜ応援演説?という疑問も当然あるのだが。)


その昭恵氏が、三宅氏の薦めで映画「標的の村」を観て、自分から「高江に行きたい」と言ったという。議員でも閣僚でもないけれども、「聞く耳」を持とうとしている昭恵氏に三宅氏は賭けた。


市民にとって、昭恵氏の突然の来訪は不快でしかなかった。しかし、だからこそ昭恵氏は市民の痛みをヒリヒリと感じることができたのではなかろうか。
昭恵氏が市民と共に機動隊と対峙――なんてドラマチックな場面はさすがに期待できまいが、彼女の何らかの行動に繋がれば、配慮を欠いた訪問も無駄ではない。昭恵氏の、人としての真っ当な感覚に一縷の望みを託してみたい。


一方では、今回の訪問は反安倍のガス抜き目的に過ぎないという憶測も根強い。「誰にも言わずに行った」などと言いながら、現地ではSPにガードされていたとの証言もある。
何も動きがなければ、本心はどうあれ「三宅氏を利用しただけ」というそしりは免れないだろう。