だれもがみんな知っているアベノミクス

安倍さんの主張するアベノミクスの「成果」は、「雇用改善」と「17年ぶり賃上げ」ばかり。とにかくそれしか言わない。その実態はというと、「雇用改善」は正規雇用から非正規雇用にシフトしただけだし、賃上げは政府の要請に主要企業が応じた(官製春闘)のに過ぎず、好循環でもなんでもない。要するにどちらも大企業との癒着を浮き彫りにしただけ。
スタート前から指摘されていた懸念は、いずれも的中している。

  1. 金融緩和 → 民間銀行で紙幣が遊んでいる状態なのにそれ以上緩和しても意味がない。
  2. 大企業保護(公共事業と法人税減税) → バブル崩壊以降繰り返され効果がないことは実証済みな上に財政を圧迫。

しかも野口悠紀雄氏によれば、実は安倍政権誕生の少し前から日本経済は自律回復を始めており、アベノミクスによる円安がむしろその回復を鈍らせたというのだ。2013年にこの指摘をしている。
実際2013年1-3月期の速報値に「アベノミクスの成果です」と息巻いた安倍首相だが、そもそもアベノミクスの本格化は4月以降であり、その4-6月期からは下降。それでもうまく行っていると言い続け、翌2014年には消費税増税を断行し不況に拍車。
不況の根本的な原因は消費税増税でもなければ中国経済の減速でもない。経済政策そのものが間違っていただけだ。さすがに自民党員も、もうそのことに気付いていることだろう。少なくとも安倍さん以外は。党員は立場上表だって口にできないだけのこと。


百歩譲って、失敗したのは仕方がないとしよう。経済政策の失敗は安倍政権に限ったことではないのだから。だが、失敗も誤りも認めずに効果の期待できない政策をズルズルと続けて国民を苦しめるのは勘弁してくれ。
そしてなによりも、「美しい国」なんて言いながら国民の暮らしになぞこれっぽちも興味のない安倍さんの欺瞞にいい加減気付けよ国民。


余談だが「アベノミクスが失敗したのではなく民主党政権時代に決められた四大増税が失敗」なんてツイートを目にした。どの増税がどこにどんな影響を及ぼしたかを統計から導き出した上での結論なのかそれは。そしてそれを廃止しなかった安倍内閣の責任は問われないのか。特に、言いだしっぺの民主党も含めヤメロヤメロの大合唱だったのを振り切って消費税増税を断行したのはだれだね。自説に有利な材料を思い付きで並べる人、それに飛び付く人、どちらも情けない。