遠のくデビュー

ファド歌手津森久美子さんを講師に迎えてのファドレッスン。性懲りもなくまた受けて参りました。生徒は1人増えて4名に。
本日の課題曲は「Loucura」。
あ〜も〜むずかちい。
ブンチャッブンチャッと刻まれるリズムに歌詞をのっけてくわけだが、単語のアクセントを捉えて的確に割り付けねばならない。が、まず楽譜というものがないので、オタマジャクシひとつひとつへの音節の割り振りを視覚的に確認できない。楽譜がないゆえ割り振り方は「自由」である――というファドならではの特性も私のおつむを凍らせる。「ぷろ」を真似れば済む話ではあるのだが、聴覚のみで捉えての真似というのがまた難しい。この生徒、世話が焼けすぎだよ、おい。
音楽の素養のある人ならさらりと突破(というより通過)してしまうようなことでも、いちいち頭で理解しないと先へ進めない。理解しても、歌う段になると頭からすっかり抜け落ちる。挙げ句メモの訂正が多くなりすぎてどれがホンモノかわからず歌いながらパニックに。ムキーッ!
loucuraの「ou」の発音はこう、minhaの「m」はこうといった発音指導もどこへやら、歌ってみれば見事なローマ字読みに。
レクリエーション感覚と言いつつも、やはりきっちりできないと悔しいものだ。一夜明けてもまだ悔しいムキーッ!
いえ、楽しいんですけどね。今回もメインの生徒+野次馬連という変則レッスンでハードルが高めだったのと、変なとこに細かい私の性格(しかも音痴)ゆえに悔しさも残ったというだけのこと。

突っ込んでみる

この「Loucura」、平たく言えばシツレンの歌。
読み進めると、色々突っ込みを入れたくなる。
「僕は不幸 母ちゃんもそうだった」 お袋のことなぞ知るかい!
「君は優しいけどチューさせてくれない」 させるワケねーだろ!
「僕はおかしくなっちゃうよ」 な〜れ〜ば〜
「僕は不幸だけど君に全てをあげる」 いりません
とまあこんな泣き言だけに終始するのなら実につまらぬ歌と言わねばなるまいが、ハッとさせられるような真っ直ぐな言葉も混じっているのが油断ならないところ。これは「男の独善と純粋さが錯綜した歌」と言えまいか。だからこそLoucura(=Madness)なのか。いやMadnessという訳が適当かはわかりませんが。
歌詞を読み込んでみると、自嘲→自嘲→真面目→自嘲という流れが感じられた。(イヤちょい違うな。まあいいや。)そして2度歌われるサビは、同じ歌詞でありながら異なって聞こえる作りになっている、と。
レッスンの時は、私はもちろんこの解釈に基づいて歌った。
うそ。
う〜ん、デビューできるかなあ(まだ言うか)。