ポルトガル料理店を比較する

(2009年版はこちら http://d.hatena.ne.jp/higeweb/20090621

海と森

東京都杉並区(荻窪)。正式名は「西洋飲茶 海と森」。席数は30くらいだったか。元々はフランス料理、中華料理のレストラン。パスタメニューも多かった。折衷というと胡散臭げに見られがちだが、どの料理も実にうまかった。
シェフが在ポルトガル日本大使館の料理長だった頃に習得したというポルトガル料理も後にメニューに加えられ、当時としては都内で唯一ポルトガル料理の食べられるレストランとなった。ポルトガル愛好家の支持を集め、以後店のメインメニューはポルトガル料理へとシフトして行った。
私が初めてポルトガル料理を食べに行ったのはこの店で、私にとってポルトガル料理のスタンダードとなっている。ワインのおいしさもこの店で知った。
よって
料理:★★★
安さ:★★★

これを基準点として比較しようと思う。
料理は独自のアレンジが加えられているものもあったが、正統ポルトガル料理と言って差し支えのない範囲であったと思う。
コースは3,465円、ワインはカザル・ガルシアの2,625円を筆頭に3,000円前後のワインがズラリ。特筆すべきは、当時(2000年前後)でさえ仕入れ値2,000円と言われていたエスポラン・レゼルヴァの3,465円という破格の値段(フツーは原価の3倍くらいらしい)。現在ボトル5,000円以下で飲める店は存在しない。
2005年に閉店してしまったのが今でも残念でならない。

ぺてぃすこす

東京都目黒区(鷹番)。西山シェフによる本場仕込みのポルトガル料理が食べられる。15席程度のこぢんまりとした店。最近の飲み会会場は殆どここ。行くと大抵4〜5時間居座ってしまう。
料理:★★★
安さ:★★

料理の味は、現存する都内のポルトガル料理店の中では一番。
コースは3,990円〜。ワインは「海と森」に比べると高めだが、当時とは仕入れ値がまるで違うことを考えれば致し方ないところだろう。カザル・ガルシアの2,625円は、私の知る限りでは最安値。
他の店より劣っているのはメニューの豊富さくらいか。
追記:ぺてぃすこすは2007年いっぱいで閉店。おいしい順に消えて行くポルトガル料理店。

マヌエル(開店当時)

東京都渋谷区、千代田区四ツ谷)、港区(高輪)。現在もっとも名の知れたポルトガル料理店。
料理:★★★
安さ:★

うまかった。「海と森」のシェフを「おいしさに冷や汗が出た」と言わしめたほど。うまかったんだけどなあ……。

マヌエル(その後)

料理:★★
安さ:★

「海と森」や「ぺてぃすこす」では何度も飲み会をしているが、マヌエルではライブを入れても2回。だって誰も「また行きたい」と言わないんだもの。値段だけが理由ではない。開店後数ヶ月をピークに味は落ちた、と、思う。おいしいことはおいしいが、値段からするとやや物足りない。
食器がやけに小さくて安っぽいのも気になる。あれ、器でかなり損してるよ。唯一高級感を売りにしている店なのに。
安さは星1つとしたが、ワインは高くない。四谷店よりも渋谷店、高輪店の方が安いようだ。

追記(2008/7/9)

同じマヌエルでも店舗によって味にばらつきがあることがわかった。
渋谷店、丸の内店(2007年開店)は、四谷店に比べて安い上においしい。高輪店がもっともおいしいとの評判も耳にしたが私は行ったことがない。

ヴィラモウラ銀座店

東京都中央区。広い。
料理:★
安さ:★★

コースは3,800円〜。
ポルトガル風味洋食レストランといった趣。なぜか前菜にタコのカルパッチョ(噛み切れない)が出たり、どこがポルトガル風かわからないポルトガル風サラダが出たり、タラのコロッケがクリームコロッケだったりと、目が点になること数回。但しこれは当時最も安かった3,150円コース(今はない)の話で、他のコースのことはわからない。私としてはこの店には安さで押してほしかったが、コースがぺてぃすこすと同等の値段になり、行く理由がなくなってしまった。
単品メニューでも、芋や卵をわんさか使って無駄にボリュームを増やした料理が印象を悪くしている。しかし目玉料理のカタプラーナ鍋は結構おいしい。残ったスープでリゾットを作るのはポルトガルの食べ方ではないが、これまたおいしいのでOK。星1つはちと辛い気もするが、相対評価だとこうなる。
銀座であの値段であの味なら、いい店の部類だとは思う。無駄に多いと私が感じた料理も、大食漢は歓迎するだろう。それからどの店にも言えることだが、ワインはうまい。種類も多い。
普通の洋食屋と思って行けば楽しめるが、ポルトガル料理食うぞと意気込んで行くと肩すかしを食う、そんな店。基本的に「まずい」料理は出ないので、繁盛するのもうなずける。