灰谷文学になぞらえ

灰谷健次郎という作家がいる。骨太で圧倒的なパワーを持つ物語を書く。あるいは書いていた。だが欠点も多く、数々の批判や揶揄に晒され続けてもいる。
そんな灰谷文学を、清水真砂子は著書「子どもの本の現在」でこう評した。

灰谷の野暮な作品は灰谷の悪口をいう粋でスマートな連中の書くものよりはたぶん確実に上をいっている。

灰谷の文学は、このところ読んでも読んでも満たされなかったひとつの飢えを少なくとも満たしてくれた。しゃれたケーキも欲しいが、やっぱり歯ごたえのある固い、しっかりとしたパンがほしいと思っていた人々の前に、どう生きるかという問題をつきつけて、その要求に応えたのである。

「灰谷の〜」を「金八先生」と言い換えてもピタリ当てはまりはすまいか。
武田鉄矢という癖のある俳優が主人公であり、ストーリーも突っ込み所たっぷり。好き嫌いの分かれるのは当然だ。それでもこのドラマには、揶揄や嘲笑にびくともしない心棒がある。新シリーズがもし始まれば、やはりけちを付けながらも欠かさず観てしまうことだろう。
でも今シリーズは私にはイマイチダッタナ。

子どもの本の現在 (同時代ライブラリー (348))

子どもの本の現在 (同時代ライブラリー (348))