私が一番好きなプロレス団体は三沢光晴率いるプロレスリング・ノアである。
特色をひとことで言うなら「業界随一のいい子ちゃん団体」となろう。話題性よりも試合内容を重視して堅実にファンを獲得するというその方針は、国内最大手の新日本プロレス(アントニオ猪木が設立)とは実に対照的だ。
私が最も夢中になってプロレスを観ていたのは90年代前半。ノアはまだなかった。ノアの主力選手の殆どは、当時ジャイアント馬場率いる全日本プロレスに所属していたが、その後社長となった三沢光晴と馬場元子オーナーの確執により殆どの選手が退団し、ノア設立に至った。2000年の旗揚げ以来、人気爆発とは行かないまでも、2004年には初の東京ドーム興行で成功を収めるなど着実に業績を伸ばしている。
私自身が今どの程度ノアを楽しんでいるかというと、10年前に比べれば関心度は半分以下だろう。ヘビー級の若手、中堅の成長が今ひとつで、何度でも観たいと思えるカードがない。普段プロレスのことを考えることもあまりない。
それでも今自分がノアを楽しめているのは、気持ちがニュートラルに近くなっているからだろう。つまり「あの頃はよかった」と過去の幻影と比べては落胆するということがなくなっている。良くも悪くも「期待せずに」観ているわけだ。
そうやって観ていると気付くのである。「ノアは面白い」ということに。期待や思い入れといったフィルターを介さず、つまり初めて観戦する人に近い気持ちで観ると、なかなかに面白いのである。マニア層にとっては何の変哲もない試合でも、実は観客をそれなりに楽しませている。熱狂とまでは行かずとも、初観戦の人を「プロレスって面白いね」と言わしめる水準の興行を堅実にこなしている。これはなかなかに大したことなのではなかろうか。
大枚はたいてよそからビッグネームを招くというやり方も、そう頻繁にはやらない。見た目の刺激には欠けるが、企業としては所属選手により多くのチャンスを与え、徐々に質を高めて行くのは、実に賢い戦略と言える。無論ファンは私を含め、そうした事情お構いなしに目新しいカードを期待するわけで、団体としてはさじ加減に悩むところだろうけれど。
2004年の感想も書くつもりでいたが疲れたのでおしまい。そのうち書くかな。書かないだろうな。
オフィシャルサイト http://www.noah.co.jp/
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