慣れた環境にしがみつくユーザー

新しいOSが出ると、多くのユーザーが「なんじゃこりゃ」と悲鳴を上げる。私も似たようなものだが、それでひたすらに自分の慣れた操作体系に近付けてカスタマイズするのは恥ずかしいことだと思っている。
パソコンへの苦手意識が強いとか、いい年だから新しいものを憶えられないとかいうのなら仕方がないと思う。みっともないと思うのは、スキルも若さもあるのに、一度慣れた環境に固執して、それが通だと言わんばかりに自己満足に浸っている手合い。「最近の若いモンは」と愚痴るジジイ道一直線である。
新しいOSを導入したら、私はとにかくそのまま使ってみることにしている。「なんじゃこりゃ」が、設定変更によって解決すべきもののこともあれば、実は慣れによって長所とわかるもののこともある。それを判断するには多少は時間が必要ということだ。

ウインドウズXPがベスト

今のところ、私にとってベストな環境は、ウインドウズXPに若干の設定を加えたものである。XPのスタートメニューは実によくできている。私はマイドキュメント等主要フォルダ、マイコンピュータ、マイネットワーク、コントロールパネル、ネットワーク接続、プリンタを、それぞれリンクとして表示している。スタートメニューはウインドウズキーを押して表示しているので、どれもワンクリックで開ける。左側の列には、頻繁に使われるソフトのショートカットが表示される。但し上2段のブラウザ、メーラーは非表示にしている。
XPのスタートメニューに一度慣れてしまったら、もうME以前には戻れない(2000は使ったことなし)。私には、クラシックスタートメニューの人気が心底謎だ。
更に私は、タスクバーを2段または3段に領域を広げている。下段にはクイック起動(メーラー等頻繁に使うソフトのショートカットを並べている)、言語バーの他に、マイコンピュータも表示している(つまり各ドライブが1クリックで開ける)。

使いやすさの基準

クリック数の少なさ。それだけではないが、重要なのは間違いないだろう。(ショートカットキーの達人にはどうでもいいことかも知れないが、少数派だろうからここでは触れない。)
たとえばウインドウズMEの終了オプション。電源を切る際に、[スタート]ボタンから数えて最高で5回クリックせねばならない。95や98は4回だ。たった1回の差が、私には大変なストレスだった。1秒足らずのロスと考えればどうということはないのだが嫌だった。逆にXPの終了オプションには目から鱗が落ちた。クリック3回である(Vistaについては後述)。もっとも私は本体の電源ボタンを押してしまうことが多いけれど。
スタートメニュー内でのクリック数という点では、XPスタイルもクラシックメニューも、殆ど変わらない。ただ、クラシックメニューだと「ポイント」という操作が多くなっている点で面倒に感じる。(特定のボタンをメニュー上部に表示するよう設定も可能ではあるけれど、実践している人は少ない。)

Vistaのスタートメニュー

今更私が言うまでもなく、ひどいものである。これならクラシックメニューの方がいいかも知れない。
「すべてのプログラム」をポイント(またはクリック)すると、メニュー枠内にちんまり表示されるフォルダ群。一年以上使っていても「なんじゃこりゃ」である。

メーカーの言い分1:画面がメニューで埋まることがなくなった

埋まって困ることあんの?

メーカーの言い分2:マウスの動きが少なくてすむ

ひとつのプログラムを起動するのにどれだけの操作が必要になるか、ちょっと使ってみればわかりそうなもの。まずスタートボタンをクリック、「すべてのプログラム」をポイント(orクリック)、目的のフォルダを見つけ出すのにスクロールバーをクリック(orドラッグ)。見付けたフォルダをまたクリック。ショートカットをまたクリック……ムキーッ! 都合クリック4回(「すべてのプログラム」をクリックした場合はプラス1回)。XPではクリック2回だよ。で、何が少なくてすむって?
「コンピュータ」や「ドキュメント」といったリンクがテキストのみになっているのも不満(ポイントした時にメニュー上部にアイコンが表示されるだけ)。絵と字では探すのにかかる時間がかなり違う。GUIってなんだっけ?

Vistaの電源機能

実は私は気に入っている。といっても設定を変更すればの話。
XP以前からパソコンを使っている人の殆どは、Vistaでも使い終わるとシャットダウンしているようだ。しかもスタートメニュー内の▲(右向き三角ね)をポイント→シャットダウンという手順で。これはナンセンス。やめろ。今すぐやめろ。
Vistaでは基本的に電源ボタン(スタートメニュー内の濃い赤のボタン)をクリックするのをおすすめする。但し私のようにスリープが気に入らない人は、電源ボタンで休止状態になるよう設定するとよい。
私はXP以降は基本的にシャットダウンはせず、休止状態にしている。こちらの方が起動が速いし、休止前に使っていたソフトも開かれた状態で起動するからだ。(シャットダウンの回数が少ないほどシステムが壊れにくいようにも感じるが、これは気のせいかも知れない。)通常起動が異常に遅いVistaなら、休止状態のメリットは更に大きい。しかもXPには、休止状態から復帰してからネットワークに繋がるまでに少し時間がかかるという欠点があったが、Vistaにはそれがない。しかも電源を切るのにクリック2回。Vistaもがんばってるじゃないか。
Vistaの電源ボタンのもうひとつ優れた点は、スリープや休止状態になるよう設定していても、シャットダウンが必要な場合はシャットダウンしてくれるということ。これはWindowsUpdateで威力を発揮する。インストールした上でシャットダウンしてくれるというわけ。実はこれ、初心者にはかなり重要。Updateなんて、なんだかわかんないからといって、インストールしない人が多いのだ。「スタート→▲→シャットダウン」という操作を習慣付けてしまうと、大事な更新プログラムがいつまでもインストールされないままになりかねない。だから初心者にこの手順を勧めてはいけない。
休止状態がどうしても嫌だというのなら、電源ボタンで常にシャットダウンするよう設定するといい。いちいち▲をポイントしてじっと待つこたない。
でもVistaでシャットダウンに固執するのは、せっかく優れた電源管理機能があるのにもったいないなあと思う。
設定手順はこちら。
http://support.microsoft.com/kb/937435/ja