冨田勲

飲み会で松田美緒の話題になり、彼女の好きなヴィラ=ロボスの話題になり、ロボスが聴ける数少ないアルバム「ドーン・コーラス/Dawn Chorus」を作った冨田勲の話題になった。
私の所蔵CDは20枚近いだろうか、主に二十歳前後の頃に買い漁った。(何枚かのアルバムはドルビーサラウンド仕様になっており、それが聴きたいがために5チャンネルのサラウンドシステムを買い揃えもした。)ここ数年はやや遠ざかり、気になりつつ買わないままのCDが結構ある。
http://www.isaotomita.com/
オフィシャルサイトで結構試聴できるじゃないか。アメリカで大ヒットしたシンセでの実質デビュー作「月の光/Snow Flakes Are Dancing」の発表が1974年。言うまでもなくドビュッシー
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この時代にこんなん聴いたらそりゃたまげますわな。既に売れっ子作曲家だったのに殆どの仕事を断り、たった一人で1年4ヶ月間部屋にこもってデモテープを完成させたという恐ろしい人。その辺の経緯はこちらのインタビューで読める。
http://www.13hw.com/interview/interview07/07_01.html
イージーリスニングといったものとは対極の強烈な音の多い当時の作品の中にあって、「ドーン・コーラス」(84年)は濃厚ではあるがかなり取っつきやすい。実はこのアルバム、星からの電磁波や光度曲線の波形を使って殆どの音色が作られている。「ストリングスがほしい」→のこぎり状の波形を探す、「こんな波形は蒸気音にしかならないよ」→汽車の音に使おう、といった具合。だから何だと言ってしまえばそれまでだが、冨田勲はこう語る。

このアルバムのストリングス・セクションは、人間の奏でる生身のヴァイオリンの音とは違った、一見あたたかいようでいて、よく聴くとクールのような、ちょうど澄んだ夜空を見上げたとき、ミルクを流したような銀河が、実は、一粒一粒の星くずの集まりのような、あるいは角砂糖に水を注いだ時のこわれやすい感触、そんな感じのストリングスに仕上がったようだ。

ライナーノーツはこんな調子。

アルバムの前半(A面)はヴィラ=ロボスの曲(ブラジル風バッハ)が並び、後半(B面)はアルビノーニ、バッハ、ラフマニノフパッヘルベルの超有名曲が並ぶ。(使用曲はかなりの確率で当てられるだろう。)名盤。
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1984年には、オーストリアドナウ川の両岸に巨大スピーカを設け、また船で水面に、ヘリコプターで上空にもスピーカをしつらえ、出力46,000ワット、聴衆8万人というきちがいじみたコンサート「サウンドクラウド」を行う。(横浜で開催されたのが1989年。当時私は冨田のトの字も知らんかった。くそ〜。)
10年あまりクラシック曲のシンセアレンジを中心に活動していた冨田勲だが、80年代終わりから映画音楽を手掛けるようになる。中でも「学校」では、監督の山田洋次が自分の映画を観て初めて(実は音楽の力で)涙が出そうになってしまったという。山田洋次冨田勲がすっかり気に入ってしまったらしく、以降殆どの映画で起用している。と今調べて知った。

学校

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