借金で首が回らない

火車 (新潮文庫)

火車 (新潮文庫)

推理小説というジャンルには取り立てて興味を持ったことがない。この小説は私の乏しい読書歴に照らすと、ルブランのようなヒロイズムを前面に出したものとも違う、西村京太郎のようなパズル的な面白さに終始するのとも違う。誰一人としてワルモノと規定し得ない事件。完璧と言っていい動機付け。血の通った人物描写と周到な謎。神業だと思った。
宮部みゆきは1960年生まれ。「火車」の発刊は1992年。作家の才能が開花するのは30歳前後が多いのかしらん。


私が本をあまり読まない理由のひとつは、長時間読むと肩や腰が猛烈に痛くなること。どんな姿勢でもダメ。痛みが過ぎて熱っぽくなることもある。読書とはかくも重労働なり。