「禁じられた遊び」がしんどいので「冷静と情熱のあいだ」のBlu(青)を平行して読む。
- 作者: 辻仁成
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2001/09/01
- メディア: 文庫
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最初の章を読んだ時は「えらい野暮ったい文だなあ」と感じた。「あおいのことがいまだに忘れられない」とか、もうちょい工夫して書いてくれと。が、そういう抵抗感は時折感じる程度で、力量のある書き手だと、読み進めるうちに思うようになった。
こうしたアクのない男性というのは、なんだか女性が描いたみたいだと思った。別に悪い意味ではなく、こんな風に男性を描く男性作家もいるものなのかと単純に驚いた。女性読者を意識してそうしたのか、それとも元々そういう作風なのか。面白くは読めるが、私には思い入れは持ちにくい。
この男性を「優柔不断」とマッチョになじる人も多いようだが、「忘れられない」ということは性格や人格でなく、この作品においては単なる「現象」として私は捉えていたので、その手の苛立ちは感じなかった。
清水眞砂子が今江祥智の「写楽暗殺 (理論社の大長編シリーズ)」を「描かれなかった部分(世の中の裏側、ドロドロ)が作品に奥行きを与えている」と評していた。
「Rosso(赤)」を私は、描かれていないかつての恋人(男)を、そんな風に楽しんだ。そこで裏側(青)をあからさまに見て(読んで)しまうのは、興味深くもあり、同時に味気ない作業でもあった。
ちなみに連載は赤−青−赤−青と章ごとに交互だったらしい。読むなら交互に読むか、または赤−青の順がいいように思う。青−赤はおすすめしない。片方だけというのは、もっとおすすめしない。
どなたか興味があれば赤・青セットで差し上げます。値札付いてますが。