２軒目ではビールで乾杯。私は底に１センチ程度。すぐに日本酒に切り替えた。ビールは飲めば飲むほど不機嫌になるので極力避けている。
自慢じゃないが本当に不機嫌になる。ただでさえ食が細いところへ、味も素っ気もないスカスカの飲み物で腹ばかり膨れるのが腹立たしくてしょうがない。腹が立たないのは小さなグラス１杯までだ。
酒に関しては奥手である。飲む機会が増え出したのは大学時代だが、乾杯は大抵ビール。これがさっぱりうまくないし酔いもしない。体質的に受け付けないわけではないらしかったが、自分は酒が苦手だと思い込んでしまった。そして大学の飲み会というやつは、アルコール以外は飲んではいけないような風潮があった。今にして思えば堂々とオレンジジュースでも飲んでいればよかったのだが、飲んで飲めないことはなかったから、そこまでは意地を張らなかった。それでも酒が苦手な者の肩身の狭さというのは充分に感じていた。ビールを飲んで一人で腹を立てるという妙な性癖は、そのあたりの体験による部分もあるのかも知れない。
「乾杯はビールで」という風潮からして嫌いである。改まった席でなければ同じ酒にこだわることはあるまい。
以前、仕事の関係で飲み会の幹事をしたことがあり、各自飲みたいものを注文してもらった。飲めない人（主に年配の女性）は大方ウーロン茶。和食だったので、私は日本酒。
ところが男性陣が全員にグラスを回し始めた。それが当然と言わんばかりに。飲めない人達は三分の一程度注いだビールで乾杯する破目になった。幹事であり最年少である私一人がお猪口で乾杯するという奇妙な光景。胸くそ悪かった。
ピッチャーがドドンと置かれ、すぐにも乾杯という雰囲気ならば、さすがに「熱燗ひとつ」などと口走りはしない。ビールを少しだけ注いでもらう。だが、わがままの利く状況なら勝手にビールを頼まれそうになったところを制止して好きなものを頼む。（届くのが遅い時は結局ビールで乾杯してしまうけれど。）すると、連鎖して他の人もビール以外のものを頼んだりする。仕事の付き合いならいざ知らず、プライベートの宴席ならば好きなものを好きなように飲めばいいのである。飲みたくないものを飲む、そんな我慢は自分がするのも人にさせるのも御免だ。
「とりあえずビール」撲滅すべし。「とりあえずスパークリングワイン」なら悪くないと思うけど。嫌いなやつは我慢しろ。
