安孫子素雄と満賀道雄

まんが道」「愛…しりそめし頃に」の満賀道雄は不思議とモテる。作中では「成就」こそしないものの、何人もの女性に気に入られる。
高校の同級生「桜井涼子」(古い版以外では「桐野涼子」or「霧野涼子」になっているらしい)、新聞記者時代の後輩「竹葉美子」、永田竹丸を通して知り合った「小鷹洋子」、石森章太郎の姉「小野寺由恵」、ホステス「リリー」「花葉エリコ」。桜井涼子のエピソードはフィクションだそうだが(実在のモデルはいる)、多くは事実にかなり忠実らしい。
作中の安孫子素雄(=満賀道雄)は、いかにも不器用で奥手の青年として描かれている。しかし漫画家仲間による現実の安孫子評は「話術巧みな司会役」。口下手の多いトキワ荘メンバーの中では突出した存在であったという。それならば女性達が憎からず思うのもうなずける。
作中では、満賀が場を仕切る場面もなければ、ジョークに皆が腹を抱えて笑う場面もない。
実像とのこうしたギャップが、意図された演出であったのか、それとも自分の内面は実はこうなんだよという正直な描写であったのかはわからない。でも物語としては「パッとしないやつがモテる」方が面白いですな。