読んだのは去年。
江國香織、梨木香歩といった、女性作家のしかもめっぽう女性的な小説ばかり読んでいた時期があり、反動で目いっぱい男くさいものが読みたくなった。
水滸伝というと、ゲームを別にすれば高校時代に横山光輝の漫画で読んだだけだった。これはかなり内容が省略されており、一度完全なものを読みたいと思っていた。で、吉川英治。
- 作者:吉川 英治
- 発売日: 1989/06/02
- メディア: 文庫
未完でした。きゃんっ。
といっても一〇八星が揃うまでは描かれている。男共女共108人がいかにして梁山泊に集ったかが面白いところなのだが……。
梁山泊の連中に家を焼かれる→しかたなく仲間入り
梁山泊の連中に子守りをしていた子供(上官の子)を殺される→しかたなく仲間入り
梁山泊の連中に罪を着せられ家族全員死刑→しかたなく仲間入り
あんたらひどすぎ。
宋江がわからない
あらゆる人に慕われているのがこの宋江という人。しかも超有名人。でもなぜそこまで慕われているかは詳しく書かれておらず、感情移入しにくい。
ピカレスクとの評に違わず、見知らぬ人にやたらと殺されかける。が、相手が宋江と知るや平伏。「まっとうな生き方をしたいと常々思っていました」とかなんとか言って、そいつも梁山泊入り。いいのか、それで。
登場人物多すぎ
108人ってアータ。名前しか出て来ない人物が多いのは仕方ないとしても、楊志みたいに重要人物と思いきや、どんな性格なのかよくわからないままの人物も少なくない。
高キュウという悪玉がいるという点では三国志演義以上に勧善懲悪なのだが、物語の味わいは「色々妙なやつがいる」といったところか。